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山本 敏久*; 北田 孝典*; 田川 明広; 丸山 学*; 竹田 敏一*
JNC TJ9400 2000-006, 272 Pages, 2000/02
多様な高速炉炉心の核特性に対する解析予測精度の向上を目的として、以下の3つの項目について検討を行った。第1部高速炉心の中性子スペクトルの誤差評価と計算精度向上策の検討高速実験炉「常陽」で用いられているスペクトルアンフォールディング法の精度を向上するため、初期推定スペクトル誤差を詳細に分析し、各々の誤差の大きさを定量的に評価するとともに、各誤差を積み上げることによって、より合理的な初期推定スペクトル誤差を評価することを試みた。検討の結果、初期推定スペクトル誤差に起因する誤差は相対的に小さく、断面積誤差に起因する誤差がほとんどであることがわかった。また、核分裂スペクトルの影響によって、数MeV以上の高速中性子束に無視できない量の誤差を生じることがわかった。第2部ガス冷却高速炉の解析手法に関する検討ガス冷却高速炉では、通常のNa冷却炉に比べて、冷却材チャンネルが体積割合に占める比率が大きく、顕著な中性子ストリーミング効果が現れることが予想される。一方、Na冷却炉用に提唱されている既存の手法では、冷却材チャンネルと平行な方向の拡散係数が無限大となり、そのまま適用することができない。本研究では、Kohlerが提唱した軸方向バックリングを考慮した方向依存拡散係数の概念を拡張し、ガス冷却炉でも正確に中性子ストリーミング効果が評価できる手法の検討を行った。第3部水冷却高速炉の解析手法に関する検討低減速の水冷却炉に対して、解析手法の違いによりどの程度計算結果に影響が現れるかについて検討を行った。軽水炉においては、燃料ペレット中の重核種の自己遮蔽効果が強い空間依存性を持つことが知られており、燃料ペレットを複数の領域に分割して評価する手法が用いられている。水冷却高速炉においても、冷却材として水を使用する以上、同様の問題が現れる可能性がある。検討の結果、燃料ペレット中の重核種の自己遮蔽効果の空間依存性は小さく、燃料領域を1領域として扱っても、臨界性、転換比ともに解析精度には問題が出ないことが確認された。
菊池 司; 三好 慶典; 鳥井 義勝*; 山根 祐一; 外池 幸太郎
JAERI-Tech 99-038, 61 Pages, 1999/04
燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の定常臨界実験装置STACYで、厚さ28cmの平板形状炉心タンクを用いた臨界実験を行った。このうち、水反射条件及び反射なし条件の基本炉心の臨界特性について報告する。実験ではディジタル反応度計を用い、臨界近傍での給排液操作による反応度測定を行った。この測定データに基づき、臨界液位と液位微分反応度を導出した。さらに、実効遅発中性子割合の評価の基礎となる反応度バックリング係数も与えた。一連の実験で得られた平板形状基本炉心の臨界データはウラン濃度約300~460g/lの範囲で、水反射条件7点、反射なし条件5点である。
須崎 武則; 桜井 淳; 中島 健; 堀木 欧一郎*
Proceedings of 6th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC '99), 1, p.386 - 394, 1999/00
実効遅発中性子割合のベンチマークデータを取得するため、反応度のバックリング係数を用いる新しい方法を提案し、この方法を水対燃料体積比の異なる4種のU炉心及びMOX燃料領域の大きさの異なる3種のU-Pu炉心に対して適用した。TCAに構成したこれらの炉心について、レーザー水位計と反応度計を用いた水位反応度の精密測定からドル単位のバックリング係数を求めた。また、この係数が水位に依らず一定であることを利用して、広範な水位変化に伴う反応度の高精度モンテカルロ計算結果からk/k単位のバックリング係数を求めた。は両者のバックリング係数の比として評価される。その値を、JENDL3.2ライブラリを用いた通例の方法による計算結果と比較したところ、全炉心について計算値と評価値は3%以内の差で一致し、熱中性子炉に関する同ライブラリの遅発中性子定数の妥当性が示された。
桜井 淳; 山本 俊弘
日本原子力学会誌, 40(4), p.304 - 311, 1998/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)指数実験とモンテカルロ計算により得られた未臨界度の差は約1%である。検出器、中性子源配置、及び解析における高次モードを含むデータの放棄により、実効遅発中性子割合()以外に起因する実験誤差を1%程度に削減できた。さらに誤差を削減するためには、誤差全体を支配するの誤差(5%)を低減する必要がある。正方配列炉心に対して作成したバックリング-反応度換算係数の相関式は、非正方配列炉心に対して適用することができる。
山根 祐一; 三好 慶典; 佐橋 直樹*
JAERI-Tech 97-039, 16 Pages, 1997/08
直方体タンク液面傾斜に伴う幾何学的バックリングの変化を3次元境界要素法を用いて解析した。液位がHのとき、タンク底面の長さlの辺の方向への液面傾斜により、H/l0.5であれば幾何学的バックリングは増大し、H/l0.5であれば減少する。また、タンク底面の長辺の長さLに対するHの比がおよそH/L0.5であれば、短辺の長さや傾斜方向によらず、液面傾斜により幾何学的バックリングは増大する。底面が正方形であれば、液面傾斜の効果は傾斜方向に依存しない。定常臨界実験装置STACYの280T平板タンク(70cm28cm)においては、液位が40cm以下では臨界にならないように運転される。この炉心形状においては、液面Hが35cm程度より高ければ液面によって反応度は減少する。
桜井 淳; 荒川 拓也*; 山本 俊弘; 内藤 俶孝
JAERI-Research 96-045, 31 Pages, 1996/08
「計算誤差間接推定法」では未臨界度予測精度は、-=K(-)で表される。この式は、未臨界度予測精度は軸方向のバックリングの予測精度である(-)に比例することを意味している。比例定数Kは計算によって求めるが、Kの不確かさが未臨界度予測精度に与える影響は、直接=K(+)によって求めた未臨界度と固有値計算によって求めたとを比べる場合に比べてはるかに小さい。したがってKの値は、既算の値を計算によって求めておけば精度は充分に保たれる。もし=であれば、=となる。TCAの四つの未臨界炉心の実験解析を基にこの方法の信頼性を示すことができた。
山根 祐一; 板垣 正文; 佐橋 直樹*
JAERI-Tech 96-018, 14 Pages, 1996/05
円筒タンク液面傾斜に伴う幾何学的バックリングの変化を3次元境界要素法を用いて解析した。円筒形状において液面傾斜がバックリングに与える効果は円筒の直径Dと高さHの比に依存する。閾値H/D~0.454が存在し、H/Dがこれより大きい場合バックリングは液面傾斜とともに単調に増加する。H/Dがこれより小さい場合、バックリングは液面傾斜とともに単調に減少し、これに伴って反応度が増加する。定常臨界実験装置STACYにおいて運転条件下の液面傾斜の効果は反応度を下げるように作用することが確認できた。このような系統的な解析に、境界要素法が有効であることがわかった。
板垣 正文
ICNC 95: 5th Int. Conf. on Nuclear Criticality Safety, 1, p.6.25 - 6.31, 1995/00
境界要素法は不規則または複雑な幾何形状を持つ体系の臨界問題に適用した場合に真価を発揮する。境界要素法では体系の境界のみを離散化し、領域内部をメッシュ分割しないので入力データの作成のみならず修正が容易であり、パラメータサーベイに向いた計算法である。中性子拡散方程式に対応する境界積分方程式には元々、核分裂中性子源に起因する領域積分が含まれるが、最近の多重相反法という新しい考え方を導入することによって等価な境界積分に変換できるようになった。また、中性子源反復計算の過程で実効増倍率そのものも境界積分だけを使って計算する方法が考案された。これらの研究成果により領域のメッシュ分割が全く不要となり、境界要素の持つ本来の利点が最大限に活かせるようになった。主に2次元問題における数値技法、テスト計算を中心に議論を進めるとともに、研究進展中の3次元境界要素法にも触れる。
中島 健; 秋江 拓志
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(11), p.1175 - 1179, 1993/11
被引用回数:1 パーセンタイル:25.98(Nuclear Science & Technology)軽水減速低濃縮UO炉心の水平方向外挿距離及び臨界バックリングBを「装荷量変化法」により評価した。この方法では、種々の水平方向寸法の炉心の臨界水位データを使用する。本方法による誤差は、過去に行なわれた出力分布より水平方向外挿距離を求める「束形法」に比べて小さくなっている。「束形法」により求めた及びBは、炉心の水平方向寸法に対する臨界水位の変化を限られた範囲でしか再現できないのに対して、本方法の評価結果は全範囲においてこれを再現している。さらに、SRACコードによるセル計算においてBを用いて実効増倍係数を求め、標準解としての連続エネルギーモンテカルロコードの結果と比較したところ、今回評価したBを用いた計算結果は標準解と良一致を示した。以上より、装荷量変化法は束形法に比べ、水平方向外挿距離及び臨界バックリングBを精度良く決定できることが示された。
山本 俊弘
JAERI-M 93-170, 18 Pages, 1993/09
日本原子力研究所の軽水臨界実験装置、TCAでの実験で水位差法に用いられるバックリング-反応度換算係数(K値)は、TCAの実験上、非常に重要な定数である。今まで、この定数は炉心形状等によって変化しないものとされてきた。本報では、このK値が軽水減速材、反射体を持つUO炉心で、炉心形状等による変化によって、どの程度変化するかを調べるため、二次元の輸送摂動を用いて、解析的に研究した。その結果、検討した範囲では、K値は炉心により5%程度変化することがわかった。また、K値の燃料セル領域と他の領域の変動成分は相殺し合う。このためK値の炉心毎の変動は比較的小さくなる。
三好 慶典; 板垣 正文; 赤井 昌紀; 広瀬 秀幸; 橋本 政男
Nuclear Technology, 103, p.380 - 391, 1993/09
被引用回数:3 パーセンタイル:38.07(Nuclear Science & Technology)原研の軽水臨界実験装置(TCA)を用いて、正多角形の水平断面をもつ炉心を構成し、幾何学的バックリングの統一的な表式を実験的に求めた。実験では、2.6w/o濃縮のUO燃料棒の三角格子配列から成る模擬炉心(正六角形・正三角形)において、臨界量及び中性子束・出力分布の測定を行った。燃料格子の臨界(材料)バックリングと各炉心の臨界水位を用いて、正六角形、正方形及び正三角形炉心の水平方向バックリングは、水平方向の反射体節約を含む有効燃料領域の外接円半径をRとしてBg=(a/R)の形で与えられることが判った。(a=2.66(正六角形),3.14(正方形),4.13(正三角形))。尚、本報告では、反射体付炉心による測定データから等価な裸の炉心体系のバックリングを評価する手法についても考察を加えている。
板垣 正文; 三好 慶典; 広瀬 秀幸
Nuclear Technology, 103, p.392 - 402, 1993/09
被引用回数:4 パーセンタイル:44.86(Nuclear Science & Technology)任意の正多角形に対する幾何学的バックリングは、対応する外接円の半径をRcとする時、Bg=(a/R)の形式で与えられることが判った。ここで定数aは多角形の種類によって決まり、正方形では、辺の数が無限個とする極限に相当する円に対しては2.405の値がとられる。近年、研究が進められている新しいコンピュータ解法である多重相反境界要素法を用いて広範なサーベイ解析を行なったところ、定数aの値は典型的な正多角形である、正三角形、正五角形、正六角形及び正八角形の各々に対して、4.190、2.821、2.675及び2.547のように計算された。今回の一連の解析を通して、多重相反境界要素法は任意形状を持つ体系の幾何学的バックリングを評価する上で極めて有効な解法であることが立証された。
三好 慶典; 広瀬 秀幸; 阿見 則男; 桜井 聡
JAERI-M 93-031, 32 Pages, 1993/03
本報では、硝酸ウラニル水溶液及び硝酸プルトニウム水溶液並びにウラン・プルトニウム混合硝酸水溶液に対して新たに提案された溶液密度式(SST式)を用いて、中性子無限増倍率、臨界バックリング等の臨界パラメータの解析を行った。ここではBurgerの式及びMaimoniの式に基づく従来の密度式(LMT式)を用いた場合と比較することにより、硝酸水溶液系の溶液密度式が臨界計算へ与える影響を評価した。解析には、詳細計算コードJACSシステムにより作成した群定数を用いて1点近似の中性子減速方程式を解くSIMCRIを使用した。溶液密度式としては、新たに提案されたSST式の方が高い信頼性を有しており、特にウラン・プルトニウム混合硝酸水溶液において合理的な結果を与えている。しかし、臨界パラメータ及び有限体系の臨界寸法に関しては、両者の間に顕著な差異は安全上無い事が確認された。
須崎 武則
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(12), p.1067 - 1077, 1991/12
中性子実効増倍係数kに関する比較を行うため、軽水減速、軽水反射の低濃縮ウラン燃料格子炉心を対象としてパルス実験、指数実験及びモンテカルロ中性子輸送計算を実施した。実験では、測定された時間及び空間減衰定数から、炉心領域での中性子バランスを記述する簡単な炉物理モデルを用いてkを導出した。これら3種のkの間の差について、2群中性子拡散方程式を解析的に解くことにより検討したところ、炉心内のバックリングの差に起因することがわかった。もう1つのkとして、反射体領域を含む全領域での中性子バランスに基づくkを定義し、その値を実験的に求めたところ、3種の方法の間の差は著しく改善された。
桜井 健; 岡嶋 成晃; 大杉 俊隆
JAERI-M 91-014, 25 Pages, 1991/02
原研の高速炉臨界実験装置(FCA)を用いて一連の高転換軽水炉模擬実験が行われている。その第1炉心であるFCAXIV-1炉心において、中心セル反応度価値測定により無限増倍率(k)を求める手法(セル反応度価値法)を適用し、炉心セルのkを測定した。さらに、得られたkをバックリング測定によるkと比較した。その結果、これら2つの独立した測定手法によるkは誤差の範囲内でよく一致した。
板垣 正文
JAERI-M 87-149, 29 Pages, 1987/09
原子炉プラントに設置される小型計算機を用いて効率的な炉心シミュレーションを実行する目的で、2次元1群拡散プログラムSICO2Dが開発された。XT平面をいくつかの長方形ノードに分割し、2次元拡散方程式を各ノードで積分することにより、x方向、y方向に1次元の拡散方程式が得られる。個々の1次元方程式は解析的に解かれ、臨界固有値及び対応する中性子束分布を迅速に求める為に射撃法の一種が使われる。これら1次元中性子束分布をノード別バックリング反復により2次元分布に合成している。本報では、本プログラムの機能と物理モデルについて記述するとともに入力データの作成法、サンプル入出力を示してある。IAEA2次元ベンチマーク問題を対象としたテスト計算結果を詳細差分コードCITATIONによる計算結果と比較し、本プログラムの計算効率と精度が調べられる。
関 泰; 大杉 俊隆; 飯島 進
JAERI-M 5307, 52 Pages, 1973/06
高速炉の核計算において主に用いられている階差方程式を解く型の2次元拡散コードの信頼性をいくつかの数値計算例に基づいて評価した。その結果、2次元拡散コードを用いて計算される実効増倍率は中性子束の勾配の大きい領域の空間メッシュ巾の切り方に強く依存することが明らかになった。また2次元拡散計算では実際の高速炉体系を2次元化した体系を用いて計算するために、2次元RZ計算では形状模擬により、また2次元XY計算では軸方向バックリング近似により計算された実効増倍率に誤差が生じる。この2通りの誤差が単純に加算された形で1次元円柱計算に生ずるものと仮定してそれぞれの誤差を求めて、逆に3次元XYZ計算の実効増倍率を推定した。この結果より2次元拡散コードは一般に実効増倍率を体系の2次元化により過大評価することがわかった。